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病院で行われる補完療法~英国と日本~④

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<日本で実施するうえでの考え方>  セラピスト活動を病院で行ううえで、  日本とイギリスでは、文化や習慣の違いを考える必要もあります。  ・イギリスは、アロマセラピーで使われる芳香植物やハーブを身近に感じる   環境であるため、病院で精油を使っても、香りに対して抵抗する人が少ない。  ・オイルトリートメントは、ローマ時代やそれ以前から既に行われていたものであり、   オイルを身体に塗布することに抵抗する人が少ない。  ・ハグや頬を触れ合う挨拶に慣れているため、人に触れて愛情を感じる感覚    に親しみがあり、慣れている。  ・男性、女性の別を日本ほどは気にしない、セラピストが男性でも、女性でも   受け入れられやすい傾向がある。    他にもあるかもしれませんが、  私が病院で施術をするときに、気をつけていることや、  ロイヤルフリーでの研修で感じた点などを考えてみました。   2016年ロイヤルフリーホスピタルでの実習の様子  日本でもアロマセラピートリートメントはとても人気があります。  アロマセラピーの協会の会員数は、ものすごい数です。  ただ、ここ30年くらいの間にポピュラーになったこともあり、    病院や介護施設などでの、比較的高齢の方は、  精油の香りとオイルトリートメントを楽しむということに慣れていません。  そういう意味では、できないということではなくて、  その良さをお伝えするために、工夫と努力、時間も必要ということです。  たとえば、  ・デモンストレーションを行ったり、  ・香りだけを楽しんでいただく機会を設けたり、  ・男性と女性、どちらのセラピストがいいのか選択できるようにしたり。  (もちろん、ロイヤルフリーホスピタルでも選択ができます。)  ・ドライハンドで行う施術もできるようにしたり。  補完療法としてアロマセラピーを行うことは、  とても素晴らしい取り組みです。    だからこそ、その素晴らしさを上手に伝えられる工夫が  セラピストに求められています。 2017年来日セミナーでのデモンストレーション  「アロマセラピーってなんですか?」  「精油ってなんですか?」  「オイルトリートメントはどうして良いのですか?

病院で行われる補完療法~英国と日本~③

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<日本の総合病院でのボランティア活動>  日本の総合病院でのケアを始めて2年、  さまざまな患者さんと出会い、リフレクソロジーやタッチングセラピーを  行ってきました。 病院での施術の様子  1回に30分、施術部位は足が主ですが、  患者さんの希望や医療チームの許可のもと、肩や腕、ヘッドも行います。  反応はさまざまで、  とても楽しみにしてくださる方、  緊張されている方、  礼儀正しくて、こちらが恐縮してしまうこともあります。  お体に触れることは非常に繊細であると考え、  普段行う施術以上に、タッチングには意識を集中させています。  私の活動に興味を示してくださる方は、積極的にお話してくださる方もいるし、  全く話さず目を閉じている方もいます。  施術中の反応はさまざまですが、  施術を受けるということに、患者さんがとても集中されるので、  私の施術を心から味わってくださっていることを、  普段の施術以上に感じます。  担当する診療科は、  泌尿器科や消化器科、循環器科、女性疾患、産科、が多いです。  時々、小児科に伺うこともあります。  病気については、あまり意識していません。  お辛いと感じるところを確認し、許可された部位の範囲で、  施術を行います。  浮腫みや足の冷えは、悩まれている方が多く、  足のリフレクソロジーは、とても喜ばれます。 ロイヤルフリーホスピタルでの研修  施術をしていて、思うことは、  触れるということが、想像以上に癒しを与えるということ。  患者さんの気持ちが落ち着き、軽くなっているのも  終了後の会話で感じたりします。  施術をするうえでは、  筋肉の構造や、リンパの流れをよくイメージして行うことが大事です。    ただ触れていることでも充分に喜んでいただけますが、  適切に筋肉の走行やリンパの流れに沿って行うと、  反応もとても良く、浮腫みの改善に繋がっていきます。  患者さんと接する時は、  明るく、しっかりと自分の名前を名乗り、  これから何をするのか説明し、患者さんの意志をもう一度確かめます。  リフレクソロジーやタッチングという言葉では  理解してもらえないことも多く、  

病院で行われる補完療法~英国と日本~②

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<ロイヤルフリーホスピタルで実施されている補完療法>  イギリスのどの病院でも、等しく補完療法が受けられるわけではありませんが、  ロイヤルフリーホスピタルのように、  国立病院で補完療法を受けることができる病院があります。  その中でも、特にロイヤルフリーホスピタルがここまで積極的に  患者さんに対して補完療法であるマッサージを実施しているのは、  キースさんの地道な活動の賜物といえます。  患者さんと接することの心構えと、  医療チームに信頼され、連携をよくしていくこと、  この両方に配慮していくことが、とても大切だそうです。 2016年ロイヤルフリーホスピタル研修にて  ◆ケアを行う前に、患者さんとの距離感、付き合い方の心得を徹底しておくこと  キースさんのお話をお聞きしていると、  いつも患者さんに寄り添い、心身が少しでも穏やかに、快適になるように、  フィジカル面と、メンタル面の両方に全エネルギーを注いでいるように感じます。  確かにそうなのですが、  時には、セラピストとして寄り添うことに悩んだり、  患者さんとの接し方に難しいと感じたり、  さまざまな「心の迷い」と直面することもあります。  「どの患者さんにもいつも愛情を持って、   リラクゼーションや元気を贈りたい!」 そう思って一生懸命に頑張ろうとすると、 限界を感じることがあるかもしれません。 弾性ストッキングの着脱の練習 キースさんは、 患者さんとの接し方に、ルールを持ち、 良い意味で、距離間を保つことを教えてくれます。 ・医療現場で活動することは、個人サロンとは違うということをわきまえる。 ・医療チームと協力はするが、医療の代わりをしているわけではない。 ・医療チームからの指示、例えば圧の加減や施術部位などを決して  セラピストの判断で変更しない。 ・公平、中立を保ち、患者さんの期待に応えようとし過ぎない。 ・希望しない患者さんには、無理に勧めない。 一人の患者さんに、エネルギーを注ぐあまりに、 あるいは良かれと思ってしたことでも、医療チームとの約束を破ってしまったら、 信頼関係が崩れてしまうことも。 1件のケースにより、その先に待っている方々のサポートが できなくなって

病院で行われる補完療法~英国と日本~①

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師走ですね。 今年を振り返り、来年の準備を始める時期になりましたね。 2017年の大きなイベントであった、10月のキース・ハントさん来日セミナー後、 私の病院内でのボランティア活動も、学んだことを活かしながら活動しています。 来日セミナーでデモを行うキースさん 患者さんとお話する際に、キースさんの会話法を真似してみたり、 マスクをしていても、満面の笑顔を作ってお話したり、 施術中も頻繁に表情を確認しながらマッサージを行うように、 改めて、小さな行動から見直しています。 患者さんへ行う会話法の研修 2015年から、実際にロンドンにあるロイヤルフリーホスピタルで研修を行い、 今年は、ロイヤルフリーホスピタル・補完療法チームのリーダーである キースさんに来日していただき、来日セミナーを開催しました。 ロンドンにあるロイヤルフリーホスピタル ロイヤルフリーホスピタルでは、年々その実施回数が拡大しており、 素晴らしい功績を残されています。 私がボランティア活動を行う際も、 患者さんと接すること、 お体に触れること、 ご要望に適切に対処すること、 いずれも、工夫の繰り返しですが、 ロイヤルフリーホスピタルでの学び、 キースさんが教えてくださる 考え方や患者さんとの向き合い方は、 非常に役に立ち、 いつもその学びを活かしています。 患者さんに行う研修の様子  患者さんと接することは、とても楽しい時間です。 でもときに垣間見える表情やお体の状態に触れたとき、 私は今この時間、精一杯、心と身体をほぐしたいという気持ちに駆られ、 出来うる限りの大きなハートを贈ります。 それも、ロイヤルフリーで実施しているセラピストの方々の姿勢を見て 学びました。 過去のブログでも そんな英国と日本の総合病院の経験を お伝えしてきました。 アロマセラピーを学びたい方や、今学んでいらっしゃる方から、 病院で行うアロマセラピーについて、 よく質問を受けます。 英国と日本の補完療法での経験から、 日ごろ私が心がけていることなどを、 もう一度お伝えていきます。 <キースさんから学ぶ、補完療法のあ